《広東語》(初級83) 「嘅」と量詞を使った場合の違い
- 2017/8/21
- 広東語(Cantonese), 文法, 初級
- コメントを書く
今回は「嘅」を使った表現と量詞を使った表現の違いについて学習していきたいと思います。以前それぞれ以下のページにて「嘅」と量詞について学習しました。
(初級08)~ 嘅 + [名詞]: ~ の [名詞]
(初級13)[代名詞/固有名詞] + [量詞] + [名詞] : 物を特定する方法(基本的な量詞)
場合によってこの2つ、どちらを使ったらよいか迷う時があると思います。今回はその違いを学んでいきたいと思います。
「嘅」と量詞の異なる点
“誰々の何々”という場合は、「[所有者] + 嘅 + [名詞]」という「嘅」を使った表現と、「[所有者] + [量詞] + [名詞]」を使った表現があります。例えば”彼のズボン”という場合は以下のように2通りの表現があります。
①嘅 | 佢嘅褲(keui5 ge3 fu3) |
---|---|
②量詞 | 佢條褲(keui5 tiu4 fu3) |
これら2つは以下の違いがあります。
①は「嘅」を使って「佢」と「褲」を繋げています。
②は量詞「條」を使って「佢」と「褲」を繋げています。
これだけだとどちらも日本語にすると”彼のズボン”となるのですが、実は少し考え方が違うのです。結論から言うと以下のような点が異なります。文章によっては「嘅」と量詞どちらも使うことができる場合と、どちらか片方だけしか使うことができない場合があります。
①嘅 | 佢嘅褲 彼の所有しているズボン。つまり彼の所有であることを表しています。 |
---|---|
②量詞 | 佢條褲 彼のこの/その/あのズボン。これはズボンが何かを特定している表現になります。 |
この2つ、名詞を所有しているか、名詞を特定しているかの違いがあります。実際の文の中で用いる際は「嘅」を使っても量詞を使ってもどちらでもいい場合も多くあります。ただ特定の文で使う際は「嘅」しか使えないという場合や、量詞を使って表現したほうがいいという場合があります。
簡単な例文を見ていこう
「嘅」しか使えないパターンと量詞しかパターン、どちらでもよいパターンをそれぞれ紹介していきたいと思います。
まずは「嘅」しか使えないパターンから見ていきましょう。
この例1の文章は「嘅」を使うのが適切で、量詞「個(go3)」は相応しくありません。理由は”明くんのお母さん”と述べたいので所有格の”誰々の何々”というように表現する必要があるためです。「嘅」は所有を表すことができるので、量詞「個」を使うと、物・人を特定する意味になってしまうので、日本語だと”あの人は明くんのあのお母さんだよ”と少し意味がわからなくなってしまいます。
次に量詞しか使えないパターンを見ていきましょう。
この例2の文章は「嘅」を使うことができないので注意してください。「嘅」を使って「明仔嘅腳流血呀」というと意味自体は通じますが、聞き手は”彼の足ってなに?情報が足りない。右足?左足?両足?”という伝えるべき情報が足りない感覚になります。
会話をする相手同士が”知ってて当たり前の事・お互い認識されているもの”は量詞を使って表現するのが一般的です。例えばこの例2の場合は、量詞を使って「腳(意味:足)」を特定しています。人間ですと通常足があるのは当たり前のことなので、この例文では量詞「隻」を使っています。量詞で表現できる場合は「嘅」も使えるパターンが多く、量詞しか使えないパターンは意外と少ないのですが、この”知ってて当たり前のこと・物”、”お互い認識されている事・もの”は通常量詞を使って表現します。
では最後に「嘅」も量詞もどちらでも使えるパターンを紹介したいと思います。
例3-2(量詞):
こちらの例3は「嘅」を使うのも量詞を使うのも問題ない例文となります。ただ、どちらも使えるというだけで、それぞれの文章には以下のように少しだけ違いがあります。
例3-1:お兄さんの持ってるズボン。(哥哥嘅牛仔褲)
例3-2:お兄さんのあの/そのズボン。(哥哥條牛仔褲)
例3-2の量詞を使ったほうが少し強調してるニュアンスがあり、この文章では具体的には述べていませんが、”いつも使ってるズボン”などそのズボンを知っているので特定している感じがします。
量詞を使うと具体的に指定や形を説明することができる
先ほど量詞を使える時は量詞を使ったほうがよいと述べましたが、量詞を使うメリットとして相手に状態を伝えることができます。例えば以下の表を見てみてください。
広東語 |
日本語 |
---|---|
佢隻手 (keui5 jek3 sau2) |
彼の手(片手) |
佢對手 (keui5 deui3 sau2 |
彼の手(両手) |
“彼の手”という意味を広東語で表すと上記2通りの表現ができます。生き物(動物や虫)や、それに関連した単語(例:ペットなど)、鼻や口、手(片方を指す場合)など体の一部に対して使われる量詞「隻」は単数を表すので、「佢隻手」は右手か左手かは不明ですが”彼の片手”と両方ではないことを表現できます。また、ペア、対になっているものに対して使う量詞「對」を使い「佢對手」と述べると両手を表すことができます。このように量詞を使うと具体的に物の状態や形を特定することができます。
他にもお菓子類などは以下のように今どのような状態なのかを量詞を使うことによって表すことができます。
広東語 |
日本語 |
---|---|
明治盒朱古力 ming4 ji6 hap6 jyu1 gu2 lik6 |
明治のチョコレート(箱に入った状態) |
明治包朱古力 ming4 ji6 baau1 jyu1 gu2 lik6 |
明治のチョコレート(袋に入った状態) |
明治粒朱古力 ming4 ji6 lap1 jyu1 gu2 lik6 |
明治のチョコレート(1粒1粒の状態) |
箱を表す量詞「盒」を使うことで箱に入っている状態を表すことができ、袋を表す量詞「包」を使うと袋に入っている状態を表すことができます。さらに「粒」という量詞を使うと1粒の状態を表すことができます。このように量詞を使うことで相手に物がどういう状態かを正確に伝えることができます。
それでは他にも練習用の例文を見て慣れていってください。
例文で勉強しよう!
この例文は「我嘅手機」の部分に量詞を使うことはできません。これは例1の時と同じでその人の持っている物(所有物)に対して述べているからになります。
この例文は「嘅」でも量詞でも問題ありませんが、「嘅」のほうがどちらかというと適切です。理由は”彼の持っている本”と所有物を借りたので「嘅」のほうがよいためです。ちなみに量詞を使うと”彼の持っているその本”と少し強調しすぎている感じがします。
この例文は「嘅」も量詞「啲」を使ってもどちらも正解となります。ただし量詞を使う場合は複数、数えられない時に使う「啲」を使ってください。例えば量詞「杯」を使った場合は、単数を表すので”このレストランの1杯のコーヒーは美味しくないよ”と1杯だけ美味しくないという不思議な文章になってしまいます。そのため複数・全体を表す「啲」を使っています。
この例文は「嘅」も量詞もどちらも使うことができますが、量詞を使ったほうがよいです。例2で体の部位には量詞を使うと記載しましたが、顔や口など体に1つかない部分に関しては「嘅」も使うことが可能です。ただ、既に顔という部位はみなさん普通知っていて当たり前のことなので量詞を使う方が適切です。
質問:
回答:
この例文の質問文の部分「公公嘅包裹」は「嘅」を使って「公公嘅包裹」としても問題ありません。ただ、回答の時は既に話の中で「包裹」について話されているので特定の意味を持つ量詞を使ったほうが適切で、「嘅」はあまり相応しくありません。
動詞(形容詞)を伴う時は注意
動詞(形容詞)を使って名詞句を構成する場合は注意が必要です。例えば”昨日買った腕時計”という場合は以下の例文のように「噚日買嘅錶」と表現します。
この例文の「嘅」を量詞に置き換えることはできません。動詞を使った名詞句を構成する場合は動詞と名詞の間に「嘅」を使う必要があります。所有の意味ではなく動詞(形容詞)と名詞をくっつけるための糊(のり)としての役割を果たすためです。ただ、量詞を使って特定したい場合は以下のように述べることができます。
上記例文のように「嘅」は残したままその後に「呢/嗰 + [量詞] + [名詞]」という形で述べてください。この場合「呢/嗰」は省略することができません。
今回学習したことは理解できてもとっさに使うには慣れが必要になってきます。間違わないように言うのも大切ですが、間違ってでも話すことが大事なので別に深く気にしないで使ったほうがよいと思います。もし間違えも不自然ですが意味は通じますので大丈夫です。また、このページの記載内容が難しいと感じた方は、またしばらく学習が進んだ後に再度見て頂ければと思います。
今回もお読み頂きありがとうございました。
関連記事(一部広告含む)
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。