今回は「有得/冇得 + [動詞] 」について学習していきたいと思います。前回「(初中級31)[動詞] + 到 : [動詞]のことができる」に引き続き”~できる”という意味の用法になります。
「有得/冇得 + [動詞]」とは
この「有得/冇得」を使った用法の”できる”は周りの環境の要因によって”できる”、”できない”という場合、それを実行したい・する人の都合・意思以外の要因・条件により”実行することができる”、”することができない”事・物に対して使われます。
言葉で説明してもピンとこないと思いますので、まずは一つ例文を紹介したいと思います。
例1:肯定:
今日明珠台有得睇天空之城喎。 gam1 yat6 ming4 jyu1 toi4 yau5 dak1 tai2 tin1 hung1 ji1 sing4 wo3. 今日明珠台で天空の城ラピュタ見ることできるよ。
※明珠台(ming4 jyu1 toi4):香港の地上波で見れるテレビチャンネルの名前。夜はよく映画を放送しています。
※天空之城( tin1 hung1 ji1 sing4):ジブリ映画”天空の城ラピュタ”の香港での呼び方。
この例文の中の「有得睇」が、今回の用法の部分になります。意味は”見ることができる”です。この例文の主語は文章に明確に書かれていませんが”わたしたち(視聴者)”になります。この例文のように「有得/冇得」を用いる場合は「我」等の人物の主語がない事も多くあります。
この例文は視聴者の都合(時間がある等)によって見れるのではなく、テレビ局が放送しているという視聴者の都合以外の要因によって見るということができるという意味です。このようなときは「有得」と動詞を使って”できる”を表現します。
では、次は否定の場合を見ていきたいと思います。
例2:否定:
因為呢本書係限量版,今日已經賣晒,聽日冇得買喇。 yan1 wai6 ni1 bun2 syu1 hai6 haan6 leung4 baan2, gam1 yat6 yi5 ging1 maai6 saai3, ting1 yat6 mou5 dak1 maai5 la3. この本は数量限定版なので、今日もう売り切れちゃった。明日は買う事できないよ。
※賣晒(maai6 saai3):[動詞] 全部売り切れる。
※限量版(haan6 leung4 baan2):[名詞] 数量限定版。
この例文では「冇得」と「買」という動詞を組み合わせてこの用法を使っています。意味としては”買うことができない”となります。理由は「因為~」の後に述べられているようにその本が売り切れだったからです。これも”できない”という理由が本が売り切れているというものであり、その話者自身に起因する要因ではないので「冇得」を使っています。
では次は疑問文を見ていきましょう。考え方は肯定文、疑問文の時の同じです。
この質問文も対象の人間の能力、都合によりできるできないではなく、その他の対象の人間以外の要因で”できる”、”できない”を聞いています。
回答するときは「有」と「冇」を使って回答します。これは省略形で「有得/冇得 + [動詞]」で回答してももちろんよいです。ただ「有得」、「冇得」という形での回答はしないので気をつけてください。
ちなみに「八達通(jang1 jik6)」は英語名「OctoPus(オクトパス)」で日本でいうSuicaやIcocaのようなICカードです。オクトパスは香港の鉄道、バスの交通機関の会社の出資によって設立された会社によって運営されています。香港ではこのオクトパスでお金を支払えるお店がとても多く便利です。個人のお店で使えるところはそこまで多くないですが、チェーン店などでしたら基本的にオクトパスを使ってお金を支払うことができます。
チャージはコンビニや地下鉄駅のサービスセンター及びチャージ機で主にできます。一部のスーパー、ドラッグストアなどのチェーン店のレジでもチャージできたりするので、オクトパスのチャージが必要なときはこの例文を使って近くのお店で聞いてみてください。
それでは他の例文も用意しましたので聞いて見ていってください。
例文で練習しよう!
例①:聽日夜晚十二點之前,都有得免費坐地鐵呀。 ting1 yat6 ye6 maan6 sap6 yi6 dim2 ji1 chin4, dou1 yau5 dak1 min5 fai3 cho5 dei6 tit3 a3. 明日夜十二時前は、無料でMTRに乗ることができるよ。
※免費(min5 fai3):[副詞] 無料で。
※坐(cho5):[動詞] 座る。目的語に乗り物を取る場合は「乗る」という意味で使います。
例②:今日麥當勞嘅漢堡包,全日都有得買一送一呀! gam1 yat6 mak6 dong1 lou4 ge3 hon3 bou2 baau1, chyun4 yat6 dou1 yau5 dak1 maai5 yat1 sung3 yat1 a3. 今日マクドナルドのハンバーガー、一日一つ買うと一つ無料だよ。
※麥當勞(mak6 dong1 lou4):[名詞] マクドナルド。
※漢堡包(hon3 bou2 baau1):[名詞] ハンバーガー。
※全日(chyun4 yat6):[副詞] 全日。一日。
※買一送一(maai5 yat1 sung3 yat1):一個買うと一個無料。
例③:今年公司業績唔好,一定冇得出花紅喇。 gam1 nin4 gung1 si1 yip6 jik6 m4 hou2, yat1 ding6 mou6 dak1 cheut1 fa1 hung4 la3. 今年、会社の成績良くないから、きっとボーナス出せないよ。
※業績(yip6 jik6):[名詞] 業績。
※一定(yat1 ding6):[副詞] きっと。
※出(cheut1):[動詞] 出す。
※花紅(fa1 hung4):[名詞] ボーナス。「Bonus(Bo1 nas3)」ということも多いです。
例④:質問:
呢間時裝店有冇得簽咭呀? ni1 gaan1 si4 jong1 dim3 yau5 mou5 dak1 chim1 kat1 a3? この洋服屋さんはクレジットカードで払う事できますか? 回答(肯定):
有呀,三百蚊以上就可以簽咭呀。 yau5 a3, saam1 baak3 man1 yi5 seung6 jau6 ho2 yi5 chim1 kaat1 a3. できますよ、三百ドル以上でクレジットカードで支払えます。 回答(否定):
唔好意思呀,呢度冇得簽咭㗎,八達通同現金就可以呀。 m4 hou2 yi3 si1 a3, ni1 dou6 mou5 dak1 chim1 kaat1 ga3, baat3 daat6 tung1 tung4 yin6 gam1 jau6 ho2 yi5 a3. すいません、ここはクレジットカード払いはできません、オクトパスと現金ができます。
※時裝店(si4 jong1 dim3):洋服屋さん、ファッションのお店。
※簽咭(chim1 kat1):[動詞+目的語] クレジットカードで払う。「簽」はサイン、「咭」はカードという意味です。
香港ではクレジットカードは店舗がクレジットカード決済会社に支払う手数料の関係上、一定の値段以上の場合のみにクレジットカードが使えるという店もあります。また個人商店などはクレジットカードで支払うと手数料をクレジットカード決済会社に支払う必要があるため嫌がる店もあり、店から出来れば現金でとリクエストされることもあります。クレジットカードで払う場合は1~2%程度値段を上乗せした金額を請求されるところもあります。
例⑤:質問:
到咗零晨一點,仲有得搭電車呀? dou3 jo2 ling4 san4 yat1 dim2, jung6 yau5 dak1 daap3 din6 che1 a3? 深夜1時になったけどまだトラムに乗ることできる? 回答:
冇電車搭呀,不過有得搭通宵巴士呀。 mou5 din6 che1 daap3 a3, bat1 gwo3 yau5 dak1 daap3 tung1 siu1 ba1 si6 a3. トラムには乗れないよ、でも深夜バスには乗れるよ。
※到(dou3):[動詞] ~に到達する。
※零晨(ling4 san4):[名詞] 深夜12時をすぎる。零晨十二點で深夜12時。零晨一點で深夜1時です。
※搭(daap3):[動詞] 乗る。
※電車(din6 che1):[名詞] 香港島を走る路面電車。日本語だとトラムと呼ばれています。
※通宵(tung1 siu1):[名詞] 夜通し。
例⑥:爸爸突然要返工,所以聽日冇得一齊去海洋公園喇。 ba4 ba1 dat6 yin4 yiu3 faan1 gung1, so2 yi5 ting1 yat6 mou5 dak1 yat1 chai4 heui3 hoi2 yeung4 gung1 yun2 la3. お父さんは突然仕事に行かなきゃいけないから、明日は一緒に海洋公園に行くことができないよ。
※突然(dat6 yin4):[副詞] 突然。
※海洋公園(hoi2 yeung4 gung1 yun2):英名「Ocean Park(オーシャンパーク)」。香港の香港島の南側にあるテーマパーク。
補足
少し難しかったかもしれませんが、徐々に慣れてもらえるように、他の記事でも「有得/冇得」を使っていきたいと思います。また例文を見ておわかりの通り、主語に人物が来ることが基本的にないということがおわかり頂けたらと思います。主語に人物があると「[動詞] + 到」で大半は表すことになります。これについては、これらの用法の違いをまとめた記事を紹介したいと思います。
今回もお読み頂きありがとうございました。
この記事へのコメントはありません。