《広東語》(初級81) 「[動詞] + [形容詞]」という表現について
- 2017/8/9
- 広東語(Cantonese), 文法, 初級
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今回は少し難しいのですが「[動詞] + [形容詞] 」の形式について学習していきたいと思います。
これまで以下のように形容詞と動詞を使って”動詞を形容詞のようにする”という表現方法を学んできました。
・(初級42) [動詞] + 得 + [形容詞] : [形容詞]のように[動詞]する
・(初級54) 咁 + [形容詞] :こんなに~
しかし今回は「[動詞] + [形容詞] 」というとてもシンプルな形式について学習していきたいと思います。
目次
「[動詞] + [形容詞]」とは
説明が感覚的なものになり難しいのですが香港の人と話しているとさりげなくこの形式で話されることも多くあります。
文法 | 肯定:[動詞] + [形容詞] 疑問:[動詞] + [形容詞] + 唔(m4)+ [形容詞]? |
---|---|
意味 | 肯定:[形容詞]のように[動詞]する。 疑問:[形容詞]のように[動詞]する? |
正確に言うと、「[動詞] + [副詞] + [形容詞]」というように形容詞の前に副詞(「好」や「太」など)を述べる必要があります。まずは例文を見てみてください。
この例文の「行好慢」の部分が「[動詞] + [副詞] + [形容詞]」となり、意味は”歩くのが遅い”と言っています。
これは実は「(初級42) [動詞] + 得 + [形容詞] : [形容詞]のように[動詞]する」にて学習したように「得」を使って「[動詞] + 得 + [形容詞]」の形で以下の文章とするほうが比較的よく使われます。しかし実際に上記のように述べる人がそれなりに存在します。
このように2つの例文を見てみると”例1-1と例1-2の違いは何なのか?”ということになると思います。この2つは少しだけ差があり「得」があるほうが形容詞の意味が強くなります。
強くなるというと少し変な感じですが相手に興味を持って話しかけている、話し手の感情が入っている感じになります。「得」自体には意味というものはありませんが感情的な表現がこもっています。どういう感情かというと”形容詞のように動詞なんだね”という理解を示したり納得した感じを表したり、”形容詞のように動詞だから”と理由を伝えようとする気持ちを表しています。
通常強調する副詞と一緒に使う
先ほど「得」があるほうが話し手の感情が入っていると記載しました。しかし「得」がなくても今回学習する「[動詞] + [形容詞] 」の形式でも強調の副詞を使うことで同等の意味を表すことができます。
例えば”とっても”という意味の「太」や「(初級54) 咁 + [形容詞] :こんなに~」にて学習した”こんなに”という意味の「咁」があげられます。以下に例文を挙げてみたいと思います。
例2-2:
簡単に感じると思いますが実際に簡単で上記の例文のように使います。動詞と形容詞を合わせて使う場合は、このように使うことができます。
副詞の「好」はあまり使わない
「[動詞] + [形容詞] 」の形式の場合は気持ちが入っていないのに加え、「好」自体もあまり大きな意味を持たないので、「[動詞] + [副詞] + [形容詞]」の形式の場合は「好」は一緒に使うと不自然になってしまうことが多々あります。例をあげてみたいと思います。
※冷氣(laang5 hei3):[名詞] 冷房。クーラー。
※開(hoi1):[動詞] (機器を)運転状態にする。
上記の例文は不自然となります。ただ完全な間違いではなく意味は通じますが少し変な感じがします。この例文はなぜ不自然かというと副詞自体に意味を持っておらず、「得」も使用していないため文章全体として強調や気持ちの面が不足している感じになります。感情・気持ちが入っておらず、気にしていない感じになります。気にしていないのに”冷房が強い”と言うわけないので広東語ネイティブの人には不自然に感じてしまいます。一言でいうとロボットが話している感じです。
これは以下の例文のようにすることで自然な文章とすることができます。
例3-3:
例3-2ので使われている副詞「太」は強調(つまり元々気持ちが入っている)の意味があるため、会話としてこの「[動詞] + [副詞] + [形容詞]」の文法で使っても相手に違和感なく伝えられます。また副詞の「好」を使う場合は例3-3のように「得」と一緒に使われることが多くなります。こうすることで話し手が興味や感情を持って話しているというニュアンスを出すことができます。
目的語を取る場合
目的語を取る場合は
①「[動詞] + [目的語] + [動詞] + [形容詞]」
②「[動詞] + [目的語] + [形容詞]」
という方法があります。①のように同じ動詞を二度使う形式も問題ありませんし、②の動詞を1つだけ述べるということも可能です。
例えば”ご飯を食べるのが早い”という場合は①と②の方法を使って以下の2通りをいう事ができます。
例4-2:
この2つの文章ですが特に違いはなく、文章にしたときは例4-1のほうが綺麗に見えますが、通常の口頭の会話では全く同じ意味で捉えられます。
今回のページの例文は比較的簡単なので、いつも通りの少し長めの例文も見ていきましょう。
疑問文の場合はあまり使われない。
相手に尋ねるの時にはこの「[動詞] + [形容詞] 」の形式は通常使われません。「[動詞] + [形容詞] 」を使った場合と「[動詞] + [形容詞] 」を使った場合の以下の例文を見てみてください。
例6-1は少し変な文章になります。なぜ少し変な文章かというと例3-1と同様に気持ちが入っていないからです。話者の気持ちがないなら質問そのものをしないので通常使われず、以下の例6-2の形式のほうが使われます。例6-1も副詞として「好」を使っていますが、「好」の時は感情が薄い感じがしてしまうので、相手に不自然な印象を与えてしまいます。このような場合も以下の例文のようにすることで自然な感じになります。
もうおわかりだと思いますが「得」を使う事で話者の気持ちが入るので自然な感じに伝わります。
否定の場合は基本的に使われない
「[動詞] + [形容詞] 」で使う場合は基本的に否定で使われることはありません。否定する場合は、
・対義語を使う(「大」の場合は「細」を使うなど)
・「得」を使って「[動詞] + 得 + [形容詞] 」の形式にする。
を使いましょう。
ただ100%使わないわけではなく使うパターンもあります。例えば”はっきりと聞こえない”という場合は、”聞く”という意味の動詞「聽(teng1)」と、”はっきり”という意味の形容詞「清楚(ching1 cho2)」を組み合わせて「聽唔清楚(teng1 m4 ching1 cho2)」と言います。
補足:意味が近い例文
最後に「[動詞] + [形容詞] 」と「[動詞] + 得 + [形容詞] 」を使った例文を1つずつ紹介したいと思いますので見てみてください。
例7-2:
この例文の意味は実は同じです。この例文を見て頂くとなんとなく「得」が強調・気持ちが入っている意味をもっているというのがおわかりいただけると思います。「咁(gam3)」は”こんなに”などの強調が入っているのですが、このニュアンスに近い物となります。もちろん以下のように「得」と「咁」を使っても構いません。
今回の課は少し説明が不明瞭な部分、曖昧になっている部分があるかもしれませんが、このページに記載した形式を広東語ネイティブの方が使うことは多々ありますのでなんとなくでよいのでこんな形式もあるよということを覚えてもらえばと思います。「[動詞] + [形容詞] 」の形式で副詞「好」を使う場合は、「得」も一緒に述べるほうがよく、その他の形容詞を使う場合は「得」がなくても基本問題ありません。
今回もお読み頂きありがとうございました。
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