《広東語》(初級86) 金額の表現方法 その①
- 2017/9/7
- 広東語(Cantonese), 文法, 初級
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今回は金額の表現方法について学習していきたいと思います。当初は初級の早い段階で学習していこうと考えていたのですが、意外と量が多く複雑であるため、今回学習という形にさせてもらいました。
金額の述べ方
これまでの例文の中でよく通貨として「蚊(man1)」してきたと思います。これは”香港ドル”という意味で理解している方も多いと思いますが、あらためてこの金額の述べ方を学習していきたいと思います。
日本語 |
広東語 | 英語 |
---|---|---|
(香) 香港ドル (澳) パタカ |
蚊 (man1) |
hong kong dollar pataca |
(香) 10セント (澳) 10アヴォス |
毫子/毫 (hou4 ji2/hou4) |
10 Cents 10 Avos |
(香) 1セント (澳) 1アヴォ |
仙 (sin1) |
1 Cent 1 Avo |
表中の”(香)”は香港、”(澳)”はマカオを表します。香港は香港ドル(Hong Kong Dollar)、澳門(マカオ)はパタカ(PATACA)と通貨が異なりますが、どちらの地域も広東語では上記表に従った単位が使われています。以降本ページでは基本的に日本語・日本語訳でこれらの通貨を記載するときは香港の通貨単位で記載します。
現在1セント単位について銀行の預貯金や株価等の金融関連以外で使うことはあまりありません。また、1セント硬貨は現在流通していないため、日常使われる最小のお金の単位は10セントからとなります。
金額の表現方法(ドル)
まずは、単位がドル以上の場合については「[数字] + 蚊」というだけとなります。
広東語 |
発音記号 | 日本語 |
---|---|---|
一蚊 | yat1 man1 | 1ドル |
兩蚊 | leung5 man1 | 2ドル |
三蚊 | saam1 man1 | 3ドル |
四蚊 | sei3 man1 | 4ドル |
五蚊 | ng5 man1 | 5ドル |
六蚊 | luk6 man1 | 6ドル |
七蚊 | chat1 man1 | 7ドル |
八蚊 | baat3 man1 | 8ドル |
九蚊 | gau2 man1 | 9ドル |
十蚊 | sap6 man1 | 10ドル |
二十蚊 | yi6 sap6 man1 | 20ドル |
三十蚊 | saam1 sap6 man1 | 30ドル |
四十蚊 | sei3 sap6 man1 | 40ドル |
五十蚊 | ng5 sap6 man1 | 50ドル |
六十蚊 | luk6 sap6 man1 | 60ドル |
七十蚊 | chat1 sap6 man1 | 70ドル |
八十蚊 | baat3 sap6 man1 | 80ドル |
九十蚊 | gau2 sap6 man1 | 90ドル |
廿蚊 | ya6 man1 | 20ドル |
卅呀蚊 | sa1 a3 man1 | 30ドル |
三呀蚊 | saam1 a3 man1 | 30ドル |
四呀蚊 | sei3 a3 man1 | 40ドル |
五呀蚊 | ng5 a3 man1 | 50ドル |
六呀蚊 | luk6 a3 man1 | 60ドル |
七呀蚊 | chat1 a3 man1 | 70ドル |
八呀蚊 | baat3 a3 man1 | 80ドル |
九呀蚊 | gau2 a3 man1 | 90ドル |
一百蚊 | yat1 baak3 man1 | 100ドル |
兩百蚊 | leung5 baak3 man1 | 200ドル |
二百蚊 | yi6 baak3 man1 | 200ドル |
兩千蚊 | leung5 chin1 man1 | 2000ドル |
二千蚊 | yi6 chin1 man1 | 2000ドル |
注意点として”2ドル”という場合は「兩蚊」という必要があります。「二蚊」は間違いですので気をつけてください。次に”20ドル”という場合は「二十蚊」といい、「兩十蚊」とはいいません。ただ”200ドル”、”2000ドル”という場合は「二百蚊」と「兩百蚊」、「二千蚊」と「兩千蚊」のどちらでも構いません。
100ドルや1000ドルの場合は日本語と異なり基本的にちゃんと「一」も述べる必要があります。例えば”100香港ドル”の場合は「一百蚊」や、”1000香港ドル”の場合は「一千蚊」といいます。
また、20~90ドルの間は言い方が2つ(30~39については3つ)あり、例えば30ドルという場合は「三十蚊」と「卅呀蚊」という言い方があります。こちらはどちらをよく使うのかといわれるとどちらもよく使うので覚えたほうがよいでしょう。
これらは以前「(初級03)数字の数え方を学ぼう」にて学習した数え方と同じですので参考にしてください。
金額の表現方法(10セント)
次は10セント単位の金額を述べる場合について紹介したいと思います。「毫子」と「毫」の2つの言い方がありますがどちらを使っても構いません。また、ドルと組み合わせて1.1ドルなどという場合は少し言い方が異なるので、それはあとで説明していきたいと思います。以下の表はあくまで10セント単位の金額のみを述べる場合のみの表現となります。
広東語 |
発音記号 | 日本語 |
---|---|---|
一毫子 / 一毫 | yat1 hou4 ji2 / yat1 hou4 | 0.1 ドル |
兩毫子 / 兩毫 | leung5 hou4 ji2 / leung5 hou4 | 0.2 ドル |
三毫子 / 三毫 | saam1 hou4 ji2 / saam1 hou4 | 0.3 ドル |
四毫子 / 四毫 | sei3 hou4 ji2 / sei3 hou4 | 0.4 ドル |
五毫子 / 五毫 | ng5 hou4 ji2 / ng5 hou4 | 0.5 ドル |
六毫子 / 六毫 | luk6 hou4 ji2 / luk6 hou4 | 0.6 ドル |
七毫子 / 七毫 | chat1 hou4 ji2 / chat1 hou4 | 0.7 ドル |
八毫子 / 八毫 | baat3 hou4 ji2 / baat3 hou4 | 0.8 ドル |
九毫子 / 九毫 | gau2 hou4 ji2 / gau2 hou4 | 0.9 ドル |
注意点として”20セント”という場合は「兩毫子」という必要があります。「二毫子」は間違いですので気をつけてください。
金額の表現方法(ドル+10セント)
次にドル単位と10セント単位が組み合わさった際の表現を紹介していきたいと思います。通常買い物をするときはほぼすべての場合、ドルと10セント単位が一緒に使われると思います。
広東語 |
発音記号 | 日本語 |
---|---|---|
個一 | go3 yat1 | 1.1ドル |
一蚊一毫子 | yat1 man1 yat1 hou4 ji2 | 〃 |
一蚊一毫 | yat1 man1 yat1 hou4 | 〃 |
個半 | go3 bun3 | 1.5 ドル |
一蚊五毫子 | yat1 man1 ng5 hou4 ji2 | 〃 |
一蚊五毫 | yat1 man1 ng5 hou4 | 〃 |
個八 | go3 baat3 | 1.8 ドル |
一蚊八毫 | yat1 man1 baat3 hou4 | 〃 |
一蚊八毫子 | yat1 man1 baat3 hou4 ji2 | 〃 |
三個半 | saam1 go3 bun3 | 3.5ドル |
三蚊五毫子 | saam1 man1 ng5 hou4 ji2 | 〃 |
三蚊五毫 | saam1 man1 ng5 hou4 | 〃 |
十個一 | sap6 go3 yat1 | 10.1ドル |
十蚊一毫子 | sap6 man1 yat1 hou4 ji2 | 〃 |
十蚊一毫 | sap6 man1 yat1 hou4 | 〃 |
こちら以下の3パターンの言い方があります。
(1) [数値(ドル)] + 個 + [数値(10セント単位)]
(2) [数値(ドル)] + 蚊 + [数値(10セント単位)] + 毫子
(3) [数値(ドル)] + 蚊 + [数値(10セント単位)] + 毫
基本的に(1)が一般的によく使われます。(2)や(3)はあまり使われない傾向にあります。また、(1)の場合は「蚊」や「毫子/毫」は使わずにドル単位と10セント単位の間に「個」を使います。この「個」は小数点を表しています。
もう一つ表を見ていきましょう。以降は(2)、(3)の形式は使用頻度が低いので割愛します。
広東語 |
発音記号 | 日本語 |
---|---|---|
二十個半 | yi6 sap6 go3 bun3 | 20.50ドル |
二十零五蚊 | yi6 sap6 ling4 ng5 man1 | 20.50ドル |
九十個八 | gau2 sap6 go3 baat3 | 90.80 ドル |
九十零八蚊 | gau2 sap6 ling4 baat3 man1 | 90.80 ドル |
一百零五個四 | yat1 baak3 ling4 ng5 go3 sei3 | 105.4ドル |
注目する部分は上記表の太字の部分の”20ぴったり~90ぴったりの数値のドル + 10セント単位”の金額を述べる時で
(4) [数値(ドル)] + 零 + [数値(10セント単位)] + 蚊
と表現をするときがあります。
この表現は10ドル、また100ドル以上の場合には使われませんので注意してください。
街中で書かれる数字
お店などで通貨を記載するときは
・元
・$
・HKD(HK$)
・通貨単位を記載しない
のいずれかになります。「$」もしくは「元」を使うことが一番多いと思います。
口語の時は「蚊(man1)」ですが書くときは「元(yun4)」という漢字を使うのが一般的です。
1セント単位が使われる場合
本ページの最初のほうに述べたように基本的にドル単位、セントは10セント単位で使われるのが普通です。1セント単位での支払いが必要な場合は普通はまずありません。
ただ、稀に使うことがあります。銀行ではこの1セント単位でも取り扱うことができます。実際銀行の預金も1セント単位で管理されています。またATMでも送金する際に1セント単位で指定することもできます。管理人も以前とあるお店からの買い物で〇〇〇.43ドルという請求が来たことがありましたので、その時ATMで1セント単位まで入力して送金しています。また株価でも1セント単位が使われています。
普段は使う機会がないと思いますが、1セント単位を使う時の表現方法を以下に記載したいと思います。
広東語 |
発音記号 | 日本語 |
---|---|---|
一仙 | yat1 sin1 | 1セント |
兩仙 | leung5 sin1 | 2セント |
三仙 | saam1 sin1 | 3セント |
四仙 | sei3 sin1 | 4セント |
五仙 | ng5 sin1 | 5セント |
六仙 | luk6 sin1 | 6セント |
七仙 | chat1 sin1 | 7セント |
八仙 | baat3 sin1 | 8セント |
九仙 | gau2 sin1 | 9セント |
では次に10セント単位と1セント単位を組み合わせて使う場合について記載したいと思います。
広東語 |
発音記号 | 日本語 |
---|---|---|
一毫一 | yat1 hou4 yat1 | 11セント |
一毫一仙 | yat1 hou4 yat1 sin1 | 11セント |
こちらは上記のように
(1) [10セント単位] + 毫 + [1セント単位]
(2) [10セント単位] + 毫 + [1セント単位] + 仙
のいずれかを使って表します。「毫子」は使われないので注意してください。
それでは次はドル単位を組み合わせた場合の使い方について紹介していきたいと思います。
広東語 |
発音記号 | 日本語 |
---|---|---|
一點零五仙 | yat1 dim2 ling4 ng5 sin1 | 1.05ドル |
一點零五蚊 | yat1 dim2 ling4 ng5 man1 | 〃 |
一點零五 | yat1 dim2 ling4 ng5 | 〃 |
一個八毫三 | yat1 go3 baat3 hou4 saam1 | 1.83ドル |
一點八三仙 | yat1 dim2 baat3 saam1 sin1 | 〃 |
一點八毫三 | yat1 dim2 baat3 hou4 saam1 | 〃 |
一點八三蚊 | yat1 dim2 baat3 saam1 man1 | 〃 |
一點八三 | yat1 dim2 baat3 saam1 | 〃 |
兩個九毫四 | leung5 go3 gau2 hou4 sei3 | 2.94 ドル |
兩點九四仙 | leung5 dim2 gau2 sei3 sin1 | 〃 |
兩點九毫四 | leung5 dim2 gau2 hou4 sei3 | 〃 |
兩點九四 | leung5 dim2 gau2 sei3 | 〃 |
兩點九四蚊 | leung5 dim2 gau2 sei3 man1 | 〃 |
上記のように複数の表現があります。そもそも使われる機会が少ないので頭の片隅におく程度でよいでしょう。条件としては
・10セント単位は「毫子」は使われない。
・10セント単位がない場合「零 + [1セント単位]」という形式になる。
・「毫」と「仙」は一緒に使われず、どちらかを省略する。
・「個」を使うときは「毫」と「仙」の単位は述べない。
となります。
おまけ:流通通貨単位
広東語とは直接関係はありませんが、香港と澳門で使われている硬貨と紙幣について補足をしたいと思います。香港と澳門で使われている通貨の硬貨・紙幣は通貨単位は違いますが、存在する硬貨・紙幣の数値はほぼ同じです。
日本では馴染みがありませんが、2という数字を使った硬貨・紙幣が香港・澳門では使われます。こちらは香港と澳門では少し異なり
香港:20セント硬貨、2ドル硬貨、20ドル紙幣
澳門:20パタカ紙幣
となっていて、澳門は20パタカ紙幣のみ2という数値を使った紙幣が存在します。以前は20アヴォスや2パタカ硬貨もあったのですが現在は製造されておらず流通していません。
また、10ドルですが、香港では硬貨と紙幣両方が存在します。現在は10ドル紙幣が発行されているのですが、その前は10ドル硬貨が使われていました。現在も10ドル硬貨はよく流通しており、しかも重いので管理人は10ドル硬貨を受け取るとあまり嬉しくありません。ちなみに街中にあるガチャガチャをするときはこの10ドルコインを使う場合があります。
澳門は過去には10パタカ貨幣が存在していましたが、現在は10パタカ紙幣のみ流通しています。
参考に表を作成しましたので比較用にご使用ください。
硬貨/紙幣 | 香港 | 澳門 |
---|---|---|
10セント/アヴォス硬貨 | 〇 | 〇 |
20セント/アヴォス硬貨 | 〇 | × |
50セント/アヴォス硬貨 | 〇 | 〇 |
1ドル/パタカ硬貨 | 〇 | 〇 |
2ドル/パタカ硬貨 | 〇 | × |
5ドル/パタカ硬貨 | 〇 | 〇 |
10ドル/パタカ硬貨 | △ | × |
10ドル/パタカ紙幣 | 〇 | 〇 |
20ドル/パタカ紙幣 | 〇 | 〇 |
50ドル/パタカ紙幣 | 〇 | 〇 |
100ドル/パタカ紙幣 | 〇 | 〇 |
500ドル/パタカ紙幣 | 〇 | 〇 |
1000ドル/パタカ紙幣 | 〇 | 〇 |
今回もお読み頂きありがとうございました!金額の言い方は複数種類存在することが多く、いずれも頻繁に使われるため、少し覚える量が多いので大変かもしれません。
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コメント
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ご回答頂き、どうもありがとうございます! 理解できました。
現在広東語を勉強しておりますので、これからもサイトを活用させて頂きます。
こんにちは。ちょっと分からないことがあったので質問をさせて頂きます。
三個半は「3.5ドル」つまり「3ドル50セント」ですが、
二十個半は「20.50ドル」で「20ドル500セント」になるのですか?
こんにちは。頂いた質問に回答します。
小数第二位の部分が0の場合、省略可能です。
そのため、小数第一位のみ記載されている場合は10セント単位となります。
「20.50ドル」=「20.5ドル」=「20ドル50セント」です。
「3.5ドル」=「3.50ドル」=「3ドル50セント」です。