《広東語》 「晒」と「埋」ってどう違うの
- 2017/1/28
- 広東語(Cantonese), 語彙
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今回は「[動詞] + 晒」と「[動詞] + 埋」の違いについて紹介したいと思います。この2つは似ている部分もあるので細かい使い分けが難しいと思っている方もいるかもしれません。これらは決定的に違う所もありますので今回はこの部分についても勉強していきたいと思います。
以前のそれぞれの文法について紹介した記事はこちらになります。
・[動詞] + 晒 : ~を全てする
・[動詞] + 埋 : 残りのことを終わらせる
「晒」と「埋」の意味
[動詞] + 晒 | 目的の物/事を全て[動詞]する。 ※目的語は省略されることもある。 |
---|---|
[動詞] + 埋 | 残りの/今ある目的の物/事を[動詞]する。 ※目的語は省略されることもある。 |
という意味になります。基本的に目的語となるものが残った物、今ある物と捉えられる時は「埋」、とにかく全てという場合は「晒」を使うと考えてください。以降に例文を交えて説明していきたいと思います。
残っているかいないか
「晒」を使うか「埋」を使うかどうかは動詞をする対象が残っているものと考えるか、残っているものと考えないかで使い分けをすることができます。
上記2つの例文は”今日この仕事を終わらせなきゃ”という意味です。例1-1のほうは”残っている(もしくは今ある)仕事を終わらせる”という残っているものとして考えることができます。対して例1-2のほうは”仕事を全部終わらせる”という全部をやりきる感じが表現できます。
では使い分けのポイントは?というと、実は明確な基準はなくその話者の感覚で構いません。その話者が残りと捉えるか、残りと捉えないかの違いだと思います。そのため、あまり深く考えなくていいかもしれません。
では次にもう一つ「晒」と「埋」を使った例文を紹介したいと思います。
この2つの文章はどちらも”この仕事半分まで終わった、今週中にやってしまおう。”となります。この例文は例2-1のほうが適切です。この例文は前半部分で「半分まで終わっている」、つまりまだ半分残っている状態を表現しているので「埋」を使った方が適切です。「晒」も一応使えますが少しだけ変な感じがします。
また、以下のように残っているものを表現しない場合は「埋」は使えません。
質問:
回答例①:
回答例②:
この質問は”きみたいご飯食べたの?”という質問なので、回答としては3-1もしくは3-2のようになります。「食咗喇」のほうは主語が書いてありませんが”食べたよ”と述べているだけです。
対して、「食晒喇」のほうが”わたしたち全員食べたよ”と”わたしたち全員”ということを強調した意味を表現できます。このようなときに「晒」を使うと”わたしたち全員が動詞をしたよ”と述べることができます。質問自体が残っているものに対して述べていないので「埋」は使えません。
※「食晒喇。」という回答について、上記説明では”全員食べたよ”という意味で説明をしていますが、全員ではなくご飯を”全部食べたよ”という回答とも認識することができます。その場合は”全部食べたよ”ということを強調した回答となります。
誰に対してなのか
自分に対して述べるか、自分以外に対して述べるかによって「晒」を使うか「埋」を使うか少し傾向が変わる場合があります。
晒:自分のことに対して使う。
埋:自分以外に命令・お願いするときに使う。
という傾向があります。そういう傾向があるだけですので、もちろん「晒」を自分以外の人に使ってもよいですし、「埋」を自分に使ってもよいです。二つの例文を紹介したいと思います。
例4-2:
この例4-1のほうは「晒」は自分に対して使っていますよね。このように主語が自分の場合に「晒」が使われる傾向があります。
また、例4-2のほうはこの文は「埋」を使っています。実は「晒」を使ってもよいのですが、なぜこのような時に「埋」を使うかというと「晒」より「埋」のほうが柔らかい表現になるからです。例えば「晒」を使った場合は”全部食べ切って”という全てやりきるという意味が強くなって少し押し付けられている感じがするので、普通は「埋」を使った方がよいと言えるでしょう。
以下に参考にもう一つ例文を記載したいと思います。
例5-2:
ちなみに例5-2で「晒」を使うとお願いというより命令、当たり前みたいな意味を相手に与えてしまいます。
複数か複数ではないか
単一(もしくは量が少ない)の物・事に対しては「埋」、複数(量が多い)の物・事に対しては「晒」が使われる傾向もあります。
例6-2:
例6-1は家の窓を1つ閉めるときの例文になります。ここでは「埋」を使っています。理由は単一の動作をするときは「埋」を使います。ここでは「晒」は使えません。「晒」使うと広東語ネイティブの人は違和感を覚えます。
例6-2は学校の教室などの窓がたくさんあるものを閉めるときの例文になります。実は例6-2は「埋」使っても特に違和感はありません。ですが「晒」のほうが”全部やる”という量がある感じを表現できるので「晒」のほうが適切です。このように窓が一つ・少数か複数かでも使い分けができます。
以下に参考にもう一つ例文を記載したいと思います。
例7-2:
この例7-2は「呢幾件衫(これらいくつかの服)」という少量を表しているので「埋」を使っています。洗う服の量が多い場合は「晒」を使って「洗晒呢啲衫」と表現すると量が多い表現ができます。
まとめ
少し長くなってしまいましたが今回の「晒」と「埋」の違いをまとめると
・残っている物を[動詞]して完了させるのが「埋」、全て完了させるのが「晒」。
話者の感覚に依存するのでどちらを使ってもよいパターンも多い。
・自分のことに対して使う場合は「晒」、自分以外に命令・お願いするときは「埋」を使う傾向がある。
・一つの物に対しては「埋」、複数のものに対しては「晒」を使う傾向がある。
また、「埋」と「晒」はどちらも過去の話をする際は「咗」は不要です。
今回もお読み頂きありがとうございました!
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