《広東語》(初級75) 先/至/先至 : ~になったら…
- 2017/7/16
- 広東語(Cantonese), 文法, 初級
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今回は「先(sin1)」、「至(ji3)」と「先至(sin1 ji3)」の使い方について学習していていきたいと思います。これら3つはざっくり言うと意味や使い方が近いため、今回これら3の使い方とそれぞれどう違うのかということを一度に学習したいと思います。
目次
「先/至/先至」とは
文法 | ①~先(sin1)… ②~先至(sin1 ji3)… ③~至(ji3)… |
---|---|
意味 | ①~してから… ②~という大事なことが終わってから… ③~がちゃんと終わった後に… |
上記の表をご覧になってもあまり意味がピンとこないと思います。これら3つは共に順番を表す際に使われるのですが、それぞれ異なるニュアンスを持っています。
先 | 前に述べた動作を先にしてから後に述べることをするという意味をもっています。単純に物事を行う順番を示しています。 |
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先至 | “前に述べた動作を先にしてから後に述べることをする”という意味をもっているのですが、この”先に述べた動作を先にすることが大事”という意味を含んでいます。なので例えば”~をしてから…をしていいよ”など相手に先にしなければいけない条件付けをするときや注意するときなどによくこの「先至」が使われます。 |
至 | 前に述べた動作を”動作をちゃんと終えてから”という意味が含まれており、前の動作が大事・重要であることを述べる時に使います。 |
それではこれら3つのを使った例文を見ていきましょう。まずは「先」を使った例文になります。
この例文は”買い物に行く”と”ご飯を作る”という2つ動作を含む文章となっています。この二つの間に「先」と述べることにより物事の順番を話しているように伝えることができます。日本語でいう”~してから…”という接続詞の役割を果たしています。
次に「先至」を使った例文を紹介していきたいと思います。
例2-2(先至:時間):
「先至」は先の動作が重要であることを述べる時、また、もう一つの使われ方として、前の動作が時間的に感覚的に長い時に用います。
この例2-1は「先至」を使うことにより、前に述べる”宿題を終わらせること”が重要という意味を含む文章となっています。この「先至」を使う事で先にする行動が重要であることを指しています。
また、「先至」は前の動作が少し時間感覚的に多少長いことを表していることにも使います。例2-2は前に述べる事柄に対して、時間を必要とする、期間が長いということを表しています。「先至」には”~という長い時間が経過してから…である”という意味合いで使われることもあり、この例文のホテルがオープンするのに”一ヵ月という長い時間がかかる”と述べています。
最後に「至」を使った例文を見ていきましょう。
例3-2(至:時間):
※維修(wai4 sau1):[動詞] 修理する。”修理”という名詞としても使える。
「至」は”前の動作をちゃんと終えてから”という意味が含まれており、前に述べたことを”ちゃんとしてから”という時に使います。またもう一つ”長い時間を要する”という場合にも用います。
例3-1は”彼が試験終わるのを待つ”と”一緒に遊びに行く”という動作を、間に「至」を用いて表しています。そのため”試験が終わるまで待つ”という動作をしっかり終わらしてから次の行動をしようということを述べています。
例3-2は、例2-2と同じように期間が長いということを表しています。”パソコンの修理には一週間もかかる”ということを述べています。
また「至」は使用頻度はあまり高くなく、先に紹介した「先至」を使われることが比較的多いです。全く使われないだけでなく聞く機会はそれなりにあるので使うことはなくても聞いてわかるレベルにはなっておくとよいでしょう。
例1の「先」を使った例文についての補足です。以前「(初級51) [動詞] ~先 : 先に [動詞] する」にて別の「先」の使い方について学習をしました。
「(初級51) [動詞] ~先 : 先に [動詞] する」にて学習した「先」は”まず”、”先に”、”とりあえず”という意味を持ち通常1つの事柄だけを述べており、また文章の最後(語気助詞がある場合はその前)に付加されます。今回学習する「先」は2つの動作を順番に述べるための接続詞の役割を持っているため、少し性質が異なります。
それでは以降の他の例文で感覚を掴んでいってもらえたらと思います。
例文で練習しよう!
これは先に”歯を磨く”ことが重要であることを述べているので「先至」を使ってその部分を強調しています。
日本語で考える場合は「等」は不要そうに思えますが、この文章の先頭にある”待つ”という意味の「等」は必須となり、広東語では”~するのを待ってから、…”という表現を「等」を用いてよく言います。「等~先/先至/至…」、「等~,…」という形式はよく使われるので覚えるとよいでしょう。
直訳:あの奨学金は三か月前にちゃんと申請したら有効だよ。
この例文の回答のように「~先至得」と”~してからOKだよ”という表現もよく使われるで、この形式も覚えると便利でしょう。
例文全体的にですが状況や話者の感覚によって「先/至/先至」のどれを使うかは変わってくる場合があります。例④では「先」を使い単純に物事の順序を話しているのですが「先至」にすることもできます。その場合は「我哋行完街先至去搵個地方飲嘢休息吓吖。」となり前半で述べている”ショッピングし終わる”という動作をちゃんと終わらす、もしくは時間がかかるものであるというニュアンスを出すことができます。
「所以先至」となった場合
以下の例文のように「所以」の直後に「先至」が使われる場合も多々あります。
一見「先至」なくても意味自体は通じてしまうのですが、「所以先至」となると「先至」が持っている”前半部分の動作が大事である”という意味が付加され、”その理由があるからこそ~である”、”だからこそ”という意味になります。
補足:「至」ではなく基本「先至」が使われることが多い
今回紹介した「至」ですが既に説明した通り、「至」より「先至」を使うことのほうが多いです。実際に広東語ネイティブの人はこの2つの感覚は「先至」と「至」に大差はないが、時間的な間隔が長いときを表す場合は「至」のほうが先にすることを”ちゃんとする”という感じが「先至」より少しだけ強いので少し長く感じるそうです。ただ、本当に少しだけの差異で実際には特に意識せず「先至」を使うことのほうが多いです。
今回紹介したすべての例文内の「至」は「先至」に置き換え可能で、置き換えても意味はかわりません。またこれらの違いは日本語で簡単に表すと以下のようになります(「先」の意味も合わせて記載します)。
先 | ~してから…する |
---|---|
至 | “ちゃんと~してから…する” |
先至 | 先にすることが重要 |
「先」/「先至」/「至」を使った例文
「先」、「先至」、「至」以外全て同じ文章の例文を用意しました。それぞれどういう感覚を最後に説明して終わりにしたいと思います。
例5-2(先至):
例5-3(至):
自然な日本語にすると3つの文章の意味があまり大きく変わらないのですが、広東語だと
例5-1は”ドキュメント作り終わったら仕事終われる”というただ動作の順番を述べています。
例5-2は「先至」を使う事によって前に述べている動作大事であることを述べています。”ドキュメント作り終わる”という大事なことが終わったら仕事を終われるといっています。
例5-3は「至」を使うことによって前に述べている動作をちゃんと終わってからという意味になります。
例5-2、例5-3は時間的にも少し長い感じがし、例5-3のほうが時間が若干少しだけ長く感じられます。
補足:「再(joi3)」ともよく組み合わさる
「先/先至/至」は、「(初級48) 再 + [動詞] : 改めて[動詞]する」と組み合わさることが多いです。理由は順番を表す「先/先至/至」と”それから改めて”という意味を持つ「再」との相性がよく物事を順番に話すことができるからです。
というように使われます。
今回もお読み頂きありがとうございました。
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