《広東語》 「瞓/瞓覺」と「瞓著/瞓著覺」という言葉
- 2016/9/6
- 広東語(Cantonese), 語彙
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“寝る”という意味の広東語は「瞓 」、「瞓覺 」と「瞓著 」、「瞓著覺 」と「著」がつく時とつかないときがありますよね。
今回はこれについて紹介していきたいと思います。
「覺」の意味
本題からは逸れてしまうのですが、まずは「瞓」と「瞓覺」、これら2つの単語の違いを説明したいと思います。
意味はどちらも”寝る”という意味です。なので「覺」のあるなしに関わらず同様の意味になりますが、恐らくみなさんは「瞓覺」の「覺」の意味ってなんだろうって思った事があると思います。
これら2つは品詞が少しだけ違います。それぞれ以下のようになります。
「瞓」の構成 | 「瞓」という「動詞」で構成。 |
---|---|
「瞓覺」の構成 | 「動詞 + 目的語」で構成。「瞓」が動詞部分、「覺」が目的語部分。 |
たとえば、”彼は既に寝た”と広東語で述べる時はそれぞれ以下のように言います。
例1-2:
この2つの例文、意味は同じです。ですが、少しだけ話し手の雰囲気が違います。実は「覺」があったほうが少しだけ丁寧な感じがします。日本語にするのが難しいのですが以下の感覚が近いと思います。
例1-1 訳文:彼は既に寝た。
例1-2 訳文:彼は既に寝たよ。
この日本語の訳文は”よ”があるかないかの差です。”よ”があったほうが、日本語としても、相手にその事を伝える感じでほんの少しだけ丁寧な感じがしませんか?逆に”よ”ないとぶっきらぼうな表現に感じると思います。この程度の差です。そのため「覺」は相手に伝えるときによく述べます。丁寧と言っても日本語の敬語とため口の違いのようなものではなく、本当に雰囲気を少しだけよくする感じです。
「著」がある時とない時の意味
今回の本題に入っていきたいと思います。まずは表にそれぞれの意味を書いたので見て頂きたいと思います。
「瞓/瞓覺」の意味 | 「寝る」という意味。 |
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「瞓著/瞓著覺」の意味: | 「寝ちゃう」、「寝つく」という意味。眠っていない状態から眠る状態に変化したことを指します。「瞓覺」にはこの変化の意味が含まれていません。 |
「瞓/瞓覺」のほうは単純に「寝る」という意味なのですが、「瞓著/瞓著覺」はその「目が覚めている→実際に眠る」までの状態を表しています。このように意味は厳密には異なるのですが、実はほとんどのパターンで、「著」があろうがなかろうが問題ありません。
どちらもよく使うパターン
以下のように既に寝た後のことを指す場合、どちらを使用しても問題ありません。言い方が違うのみ意味も全く同じに受け取れれます。
例2-2:
例3-2:
※例3-1、3-2は仮定、未来の話をしています
「瞓/瞓覺」しか使えないパターン
例えばこれから寝るという場合や、寝た間隔を述べる場合などは「著」のあるパターンは使えません。理由は「著」が寝ていない状態から寝る状態への変化の意味を持っているのですが、以下の例文ではその変化を述べる必要ないからです。
例4-2:
「瞓著/瞓著覺」しか使えないパターン
「瞓著/瞓著覺」の否定形は「瞓唔著/瞓唔著覺」となります。この否定形を使った時の意味は「寝付けない」となります。例えば以下のような例文が「著」ありパターンしか使用できない例になります。
この時は自分自身が”寝付けない。”という意味になります。理由がないけど眠れない時は「著」ありパターンしか使えません。
また、少し補足的なことになってしまいますが、周りがうるさくて寝れない、嫌なことがあって寝れない等の理由があり眠れないは以下のように「瞓唔到覺」を使っても表現できます。(もちろん「瞓著覺」を使っても構いません。)
補足
補足になりますが「瞓著/瞓著覺」は以下のような助動詞のような役割をする単語は一緒に使用しません。
・[動詞] + 到/唔到
・有得/冇得 + [動詞]
・可以/唔可以
などがあげられます。
ちなみに、「瞓着覺」の「著」は「着」という漢字を使って「瞓着覺」と使う人もいます。発音はどちらも同じです。
今回もお読み頂きありがとうございました!
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